令和元年度 カウンセリング研修 報告
= 熊本県保育士等キャリアアップ研修(保護者支援・子育て支援)=
【テーマ】「実践・保育カウンセリング:自己変革と成長を求めて」
- 心理療法統合の時代に向けての交流分析の視点から -
【講 師】 杉田 峰康 氏
福岡県立大学名誉教授、日本交流分析学会名誉理事長
【日時・会場】
- 第1回 令和元年6月20日(木) 午前10時~午後4時 熊本市国際交流会館
- 第2回 令和元年7月18日(木) 午前10時~午後4時 熊本市民会館
- 第3回 令和元年9月19日(木) 午前10時~午後4時 熊本市子ども文化会館
- 第4回 令和元年10月17日(木) 午前10時~午後4時 熊本市民会館
【日時・会場】
受講者数35名 内キャリアアップ研修修了者32名
【研修レポートより】
- 人はストロークを得られないと生きていけない、生きる気力を保てない、また、プラスのストロークが得られなければマイナスのストロークでいいから得ようとすることが分かった。子どもの気持ちになって感じ取り、理解し、いつも以上に優しく抱きしめてあげたり、「どんなときもあなたを愛しているよ」等と言葉をかけてあげることで、子どもの自己重要感を育て、子どもの成長を促し、生きる意欲を引き出すということが分かった。プラスのストローク、無条件のストロークを意識しながら、沢山子どもたちに投げかけたいと思った。
- 生育の歴史が人格に大きな影響を与えるということが印象に残った。また改めて甘えの大切さを感じた。甘えが十分満たされることでセルフコントロールができるようになることも学んだ。保護者の気持ちに耳を傾けながら、子どもが必要としていることや思いを保護者とともに考え、一人でも多く、私はOKあなたもOKという子を育んでいけたらと思う。
- カウンセリングとは「ありのままに受け入れること」「相手の立場になること」「相手の悩みに一緒に悩むこと」と聞き、身近に感じることができた。子どもの(大人にとって)困る行動のうらにはその子のどういう思いがあるのだろうと意識して考えられるようになった。また、子どもの思いにできる限り寄り添えるようにと考えるようになり、自分にとっても子どもにとっても意味のある学びとなった。
- 保育者としては子ども・保護者・同僚であったり、個人としては家族・友達であったり様々だが、相手の話をしっかり聞くこと、親身になって一緒に悩むこと、相手の気持ちに寄り添うことを心掛けて接していくことで相手のことを認められるようになり、それを積み重ねることで自分も相手から認められるようになり、よりよい人間関係が築いていけるのではないかと思う。
- まず自分の内面を探っていかなければと思った。子どものころから人の評価が気になり不安がつきまとい、自分の意見も言えなかった。漠然とした不安を抱えつつ保育士となり、様々な研修を受けてきたが、「こうなるべき」「こうしなくてはならない」という理想論だけが頭に残り、バランスを崩していた。家族や周りの人間関係もうまくいかなくなっていた時にこの研修を受けることができた。自分の生育を振り返ると乳幼児期に母に精一杯甘えた記憶が少ないことに気が付いた。幼いころに抱いていた母には甘えられない、逆らったら嫌われるという思いが強烈に蘇ってきた。今の今まで自分がこんなにも母から認められたい、私を私のままで認めて欲しいと思っていたことに気が付き、自分がいつももやもやとした不安感を抱えていたことが腑に落ちた。
現在は、子どもたちを取り巻く環境が一層厳しくなっている。様々なタイプの親子関係が存在し、大人の扱いやすい子がいい子とされ、個性的で元気のよい子は否定されやすいのではないか。一人一人の良さに気付き、触れ合い、言葉にして認めていけば子どもたちの自己肯定感の向上に繋がっていくと強く思った。 - 実際の個人面談の際にカウンセリング研修で学んだ傾聴の態度で臨んだ。すると保護者の思いを知ることができ、保護者自身も心のつかえが軽くなったようで表情が次第に変わっていくのが分かった。保護者の気持ちを受容しつつ、写真などを使って子どもの様子を話すと安心している様子だった。個人面談以降も連絡帳などでやり取りを続け、信頼関係も築けている。
- 杉田先生が講師を勤められた数十年の間に、数回受講しましたが、毎回保育にも活かすことができ、自分を知ることにも繋がりました。そして心地よい杉田先生の話し方が、日々忙しく過ごす日常の中での癒しでもありました。もう研修を受けることができないと思うととても寂しく思いますが、杉田先生の最後の研修を受けることができたことをありがたくも感じていました。
長年にわたり、私たちの為にカウンセリングを教えて頂き、本当に有難うございました。杉田先生に教えて頂いたことを、仕事でも、私生活でも、これからずっと活かしていきたいと思います。どうかいつまでもお元気で、ご自愛下さい。
【総括】
熊本子育てネット設立当初から長年看板研修であるカウンセリング研修の講師を勤めてこられた杉田先生の講義も今年度をもって最後となった。先生の教えは、受講者の職務での相談のみならず、私生活の面においても大きな影響を及ぼしてきたと思う。先生の柔和な語りかけを聞くことができなくなるのは非常に寂しいことだが、改めてその多大な功績に謝意を表したい。
(文責:小嶋 建輝)